いいから私の婿になれ
何を言っているのだろう、このネトゲ廃人は。

忌み嫌っていた筈の真琴と顔を見合わせ、エリアルは。

「ふふっ、ふふふふふっ…」

可憐な花のような微笑みを浮かべる。

「この人は重症です。私の手に負えません。お前に譲ります、雌豚」

真琴もまた、ニカッと白い歯を見せて笑う。

「冗談やろ、こんなガチオタ、ウチかていらんわ。あんた何とかしぃや」

「?????」

黎児一人だけ、何の事やらわからないといった顔をする。

…エリアルも、真琴も。

肝心な事を忘れていた。

このネトゲ廃人は、ドがつく程の『優柔不断』なのだ。

どちらか選ぶような男らしい男ではない。

二兎を追う者だし、一石で二鳥を得ようとする図々しい奴なのだ。

< 96 / 101 >

この作品をシェア

pagetop