いいから私の婿になれ
「馬鹿馬鹿しい」

スゥッと、エリアルが片手を掲げる。

その手から零れ出した星屑のような光が、エリアルの全身を包み込んでいく。

次元跳躍の魔法。

別の世界への移動を可能とする、高レベルでなければ習得できない魔法だ。

「随分無駄な時間を過ごしました。私は元の世界へ帰らせて頂きます」

「え、エリアル?」

キョトンとする黎児の耳を。

「いででででっ!」

真琴が摘んで思い切り引っ張った。

「お・ま・え・はっ!三くだり半突きつけられたんやで?往生際悪い事せんときや」

「……」

この分だと、ご主人様はあの雌豚の尻に敷かれる事になるのだろうな。

そんな事を思って笑いを堪えながら。

「ご主人様」

エリアルは再び可憐な微笑みを浮かべた。

「次はそろそろ魔王討伐と参りましょう。魔王を倒せば『勇者』に転職できるそうですよ?」

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