【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
序 章‐失ったエレジー‐
―――今から、3年前。
あたしたちが中学二年生の、ある夏の日のことだった。
「ね、アキちゃんはさ、どう思う?」
「んー、あたしは好きだよ、この歌詞。」
下校途中、あたしの隣を歩く親友はそう答えた。
「ほんとっ?よかったぁ、自信なかったんだけど…。」
親友の宮寐 瑛(ミヤビ アキラ)――アキちゃんはフンフンと鼻歌混じりに、あたしが渡した紙を面白そうに見ている。
あたしが渡したのは、昨日あたしが徹夜して考えた新曲の歌詞だった。
あたしはメロディを考えるのは好きでも、歌詞を付けるのはどうも苦手だった。
だから、こうしてメンバーのアキちゃんに見てもらっている。
あたしとアキちゃんは、他の二人を含めた4人でバンドを組んでいた。
他の二人には他に夢があったから、あたしとアキちゃんの二人でいつかデビューしようって、いつも言ってた。
そしてあたしも、いつかは二人で歌手デビューするんだって思ってた。
大人になっても音楽を続けて、いつまでも親友だって。
本当に心から、そう信じて疑わなかった…―――。
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