【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「あっ!!待てよコラァッ!!」
いやぁぁぁあああっ!!
そんな怒鳴り声の直後、あたしの後ろから複数の足音が追いかけてくる音が続く。
背後から激しい罵声があたしの耳に届くたび、あたしは心の中で悲鳴をあげまくっていた。
なんで!!なんでこんなことに!?
あたし何かいけないことした!?
ちょっとぶつかっちゃっただけだよね!!?
後ろから聞こえてくる足音を頼りに、なんとなく距離をつかんだ。
やっぱり男の人だから、速い。
どんどん追い付かれつつあった。
あとの問題は、あたしの体力がもつかということ。
ぶっちゃけ、体力には自信がある。
足だって、結構速い方。
だけど長距離を全速力で走り抜けるなんて、かなり至難の技。
家まで走るなんて、不可能だ。
おまけに家の場所なんて知られたくない。
まさに最悪、絶体絶命。