【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「えー…。俺、関係ないし。」
「ふざけんなよ李織ー!!」
ぎゃいぎゃいと騒ぐ4人を遠くから眺め、あたしは自然と口元が緩んでいた。
仲のいい彼らの姿は、今はないAriceを思い起こさせる。
ボーカルとギターを担当したあたし、ベースのアキちゃん、同じくギターの京ちゃん、ドラムのモモ。
みんな、仲良しで音楽が大好きで。
懐かしさに、きゅうっと胸が微かに痛んだ。
「ったく。優輔、余計なことはもう言うなよ」
「わかったよ」
「柚、ごめんお待たせ。帰ろう?」
そんな優しい声色にはっと我に返ると、柔らかな笑みの暁くんがあたしに手を差しのべていた。
どうやら話は終わったらしい。
あたしは、うんって頷いて暁くんに小走りで駆け寄る。
そんなあたしを見て、暁くんはふっと小さく笑みをこぼす。
その時、ポンッと頭に手が乗せられた感触があり、あたしはふっと顔をあげた。
手を目でたどっていくと、にっこり笑う優兄と視線が噛み合った。