【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐




なんだ、それなら問題はない。





「わかった。じゃあ、どの部屋に出たの?






俺がそう尋ねた時だった。







「柚?」






どこかで聞いたことのあるような声がし、俺と柚は振り向く。






そこにいたのは、優輔そっくりな高校生くらいの男の子だった。










***********








バチン!!





「ふー…、もういいぞ。」





優輔そっくりな男の子、京輔くんはそう言って、退治したゴキブリを包んだ新聞紙を外のゴミ箱へと捨てに行った。





柚の家にゴキブリが出たとき、退治するのはずっと彼が引き受けていたらしい。






その甲斐あってか、ずいぶん手慣れている。





柚はと言えば、ホッとして床に座り込んでしまった。






「大丈夫かい?立てる?」





そっと声をかけると、コクリと頷いたので手を引いて立ち上がらせてあげた。





「おーい柚、喉乾いた。なんか冷たいものくんねぇ?」





そんなとき裏口から京輔くんの声が聞こえ、柚はリビングを指差してからダイニングへと消えた。





ここで待っていて、という意味と受け取っておく。








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