【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
…そんなわけで、あたしは今暁くんのマンションの前にいる。
マンションは近くだということで、優兄に地図を書いてもらってそれを頼りにここまで来たんだけど…。
すごすぎる…。
ここ、ホントに暁くんの部屋があるマンション?
地図に書かれたマンション名と目の前のマンションの名前を何度も見比べる。
…うん、合ってる。
目の前に広がるマンションは、見上げれば首が痛くなるような高層マンションだった。
とてもただの大学生が住むようなマンションに見えない。
やっぱり、暁くんの家ってお金持ち…?
ビビりながら扉をくぐるとすぐにオートロックの扉があって、そこでインターホンを押さなきゃ中には入れない。
教えてもらった部屋番を何度も何度も確認してから押す。
『…はい。ごほっ…』
マイクから聞こえてきたのは、ガラガラだけど確かに暁くんの声で。
ホッと、胸を撫で下ろす。