【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
『…あれ、柚姫ちゃん?どうして家が…』
…あれ?今、柚姫ちゃんって…
この前までは、柚って呼んでてくれたのに…。
『…とりあえず、どうぞ。18階ね。鍵は開いてるから、勝手に入ってきてもらえる…?ごほっごほ…』
ガチャン、と鍵の開く音がして、あたしはオートロックの扉の中に足を踏み入れた。
その瞬間、開いた口が塞がらなくなってしまった。
な、なにこれ…
一階はロビーになっているようで、大理石っぽい床に、柔らかそうなソファー。
高そうな絵などが飾ってあった。
まるで高級ホテルのロビーだ。
その横を通ってすぐにエレベーターがあって、ビビりながら乗り込んで18階のボタンを押してみて気付く。
…18階ってもしかして、最上階?
暁くんの家…どこまでもすごすぎる。