【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
特に美人というわけでもなく頭もいいわけでも、運動神経がいいということもない。
声が出ないということさえ除けば、至って普通の女子高生だ。
あたしはベッドの横にあるチェストの上に置かれた、暁くんに渡したままだったボードにそのままを書き綴った。
“声が出ないことを除けば、普通の女子高生だよ。”
自分でも不思議なくらい、穏やかな気持ちだった。
にこっと、ごく自然に笑う。
それなのに暁くんは、かすかにその綺麗な瞳を揺らして悲しそうな顔をした。
「…そっか。じゃあ、ご家族は?兄弟とかいるの?」
“一人っ子。暁くんは?”
「…兄貴が二人と、妹がいる。」
そうなんだ…。
やっぱりご兄弟も美形なのかな…。
“ご兄弟も暁くんに似て美形なの?”
すると暁くんは、小さく笑った。
「ははっ、俺に似てって何だよ。俺は美形じゃないよ。」
えぇっ!?
本気でそう思ってるんなら、びっくりだよ…。