【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「まだ会って間もないのにね。君は本当に不思議な子だ。こんなにも俺を乱す。」
ど、どうしよう…。
きっと今あたし、顔真っ赤だ。
恥ずかしくて…心臓がバクバクする…!!
ぎゅっと目をつぶると、そっと離れた体温。
え…?
そろそろと顔をあげると、悲しそうな顔の暁くんがいて。
なんだかあたしまで悲しくなってきた。
「…ごめん、突然変なことして。」
首を左右に振ると、そっと笑う暁くん。
その微笑みもどこか悲しげで。
どうしたらいいのか、わからなくなってしまった。
暁くんは最後に優しくあたしの頭を撫でると、完全に距離は離れてしまって。
「…すっかり冷めてしまったね。」
小さくいただきますと呟いてお粥をゆっくりと口に運んだ。
そんな横顔すら切なげで。
あたしは、何か出来ないかと必死に頭を働かせた。