【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
お母さんのハーブティーを飲むと、気持ちがホッとしてよく眠れた。
お母さんの味には追い付かないかもしれないけど、やっぱり何かしてあげたい。
ドキドキしながらハーブティーを入れ、それを暁くんの部屋に持っていくと、ちょうどお粥を食べ終わったところらしかった。
「柚姫ちゃん、それ…」
こくり、と頷いて暁くんに手渡す。
湯気をあげ、いい香りの漂うハーブティーはなかなか美味しそうだ。
あたしは再びボードに文字を綴った。
“ハーブティー、風邪ひいたとき飲んでたの。よく眠れるよ。”
「そうなんだ…。じゃあ、いただきます」
こくん、と一口ハーブティーを飲むと、ふっと息を吐き出す暁くん。
「…美味しい。なんだか、いつもよりホッとする。」
その言葉にあたしは嬉しくなって自然と口元が綻んだ。
“お母さんが昔、あたしが風邪をひくとこうしてハーブティーを淹れてくれたの。”