【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
“あたしが一緒で迷惑じゃないの?”
それを黙読した泉堂さんたちは、みんなしてきょとんとした顔をした。
「迷惑なんて、そんなわけないよ。あたしたちが声かけたのに。むしろ此花さんの方が迷惑だったんじゃない?」
迷惑なんて、そんなことない。
むしろ、嬉しかった。
慌てて首を振れば、途端にみんな笑顔になる。
「よかった。じゃ、ほら。早く手を洗ってご飯食べよ??お腹ペコペコ。」
ニコニコ笑う泉堂さんたちに背中を押され、あたしは入学して初めて
クラスメートの輪に入っていた。
後で知ったのだけれど、泉堂さんの下の名前は優輝(ユキ)ちゃんというらしかった。
優しく輝く。
そのまんま優輝ちゃんのことみたいだねって、言ってみたら顔を真っ赤にして
「恥ずかしいだろ~っ」だって。
優輝ちゃんは、結構照れ屋さんみたい。
そして、同じくあたしをグループに迎えてくれたのが
麻佑(マユ)ちゃん、渚(ナギサ)ちゃん、真波(マナミ)ちゃんだった。