【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
みんな優しくて、楽しくて。
ただ無機質な時間を過ごすだけの学校風景に、鮮やかな色が塗られたかのようだった。
暁くんと出会ってからあたしの日常は、大きく変化しつつあったんだ。
初めて机をくっつけてみんなでお弁当を食べて。
おかず交換も初めてした。
あたしが毎朝手作りしてるおかずを、みんな美味しいって誉めてくれた。
それに、あまりテレビを見ないあたしには新鮮な、芸能人やドラマの話。
夜目に慣れたあたしには眩しいくらい、キラキラしてた時間だった。
そしてお弁当も食べ終わった頃、話は恋バナに移っていた。
「優輝の彼氏がね、めっちゃカッコいいんだよ!!」
「うん、めっちゃカッコいいよー。」
堂々と認めた優輝ちゃんに、みんなが冷やかしの言葉を浴びせた。
その大胆な発言に、思わずあたしも感心してしまう。