【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
優輝ちゃんとの会話を始めてすぐのことだった。
ヴヴヴヴヴ…
机の上に置いた携帯が、再び震え出す。
―――お待たせ。おいで、校門で待ってる。――
それは暁くんからのメールで、学校の前に着いたと知らせるものだった。
優輝ちゃんとの会話も名残惜しいのだけれど、暁くんを待たせるわけにもいかない。
どう切り出して帰ろうか、そう考えていたときだった。
「ん?イケメンの彼氏さんが迎えに来たの?」
「!?」
予想だにしていなかった優輝ちゃんの言葉に、思わず目を見開いてしまった。
「あたしだって、噂くらい知ってんだよー?毎日車で迎えに来てるイケメンさんのことくらい。」
嘘!噂になってるの!?
「って言っても直接見たことはないけどね。それはもう、ものすごいイケメンだとか?」
た、確かに暁くんはすごくカッコいいよ?
けど、その噂は違う。
“確かに暁くんはカッコいいけど、付き合ってるとかそんなんじゃないよ。”
「へぇ、その人暁くんっていうんだ。」
って、そこじゃないよ。
名前じゃなくて、彼氏じゃないってとこに反応して欲しかったかも…。