【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「あたしもそろそろ帰るし、校門まで着いていってもいい?」
え?
あたしが驚いたのを見て、優輝ちゃんはいたずらっぽく笑った。
「噂のイケメンを拝みたいだけ。だめ?」
うっ…
だめ?って言ったときの優輝ちゃんが可愛すぎて。
あたしは、こくこくと頷いていた。
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優輝ちゃんといつも暁くんの車が止まっている所まで行くと、いつも通り笑顔で暁くんが車から降りてきた。
「お疲れ様。」
暁くんの背景には、いつも以上にキラッキラの華が舞っている。
いつもいつも不思議に思う。
このフェロモンはどこから出てくるんですか?
「おぉー、これが噂のイケメンさんかぁ!!」
そんな中、優輝ちゃんの明るい声がその空気をわずかに変えた。
さすがに暁くんも、優輝ちゃんの存在に気付いて微笑みかける。
「柚?こちらはお友達?」
一応友達、だよね?
ちょっと答えに戸惑ったあたしの代わりに優輝ちゃんが明るく答えた。
「はいそうです!」
即答してくれた優輝ちゃんに、少し嬉しくなった。
「そう。柚にこんな素敵な友達がいてよかった。柚のこと、よろしくね。」
「はい!もちろんです!!」