【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
嬉しすぎて思わず、顔が自然と緩んでしまった。
そしたら暁くんは、かすかに一瞬だけ目を見張った。
でもすぐに柔らかい微笑みに変わって、どこか嬉しそうにあたしの頭をなでなでする。
なんだろう…。
あ!
もしかしてあたし、変な顔してた!?
まずい、と慌てて両手で顔を隠して俯く。
「…柚?」
ちょっと笑いを堪えたような暁くんの声でもっと恥ずかしくなって、顔が上げられない。
恥ずかしい…っ
どうしよう…。
「ね、どうしたの?」
この声の感じは、もしかして面白がってる?
なんでもない、と顔を隠したまま首を振る。
「柚、顔あげて?」
う…っ
そう甘い声で囁かれては、逆らえない。
固く閉じていた指を少しだけ、そっと開いた時だった。
え…?
何が起こっているのか、頭が追い付かなかった。
ただわかるのは、暁くんの気配が、すぐそばで感じられること。
吐息が耳元をくすぐる。
「…さっきの柚の顔、可愛かった。もう一回、見せて?」
「…っ!?」