【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐




「そう、じゃあ行こうか」



あたしが頷いたのを見て、暁くんは嬉しそうに笑うと歩き始めた。




…ところで暁くん、どこに連れていってくれるんだろう。





鼻歌を口ずさみながらあたしの右隣を歩く暁くんの横顔をちらりと盗み見る。




見れば見るほどカッコいい。



切れ長だけど優しそうな目もととか、すっと通った鼻は高くて、薄いけど形のいい唇はなんだか色っぽい。


きれいな目にかかる前髪もちょうどいい長さで、自然に遊ばせた茶系の髪もおしゃれ。



それに暁くんの声、すごくきれい。




最初に逢ったとき、思わず声だけでドキドキしてしまった。



音が外れていない鼻歌も、耳に心地よくて。




まさに完璧、としか言い様がない。




モテるんだろうなぁ、とか考える自分に嫌気がさす。





暁くんがモテたからって、あたしには関係のないことだし。







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