【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
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「いらっしゃいませー」
からんからんと、店を突き抜けるベルの音の直後。
店員さんの営業スマイルがあたしたちを迎えた。
あれから少し歩いて、着いたのはおしゃれな喫茶店。
暁くんのお気に入りのお店らしい。
「何名さまですか?」
「二人です。」
「どーぞー」
「どうも」
店員さんに対し、律儀に礼を返す暁くん。
意外と礼儀正しいんだなぁー…。
なんて、何気に失礼なことを思っちゃったりする。
店員さんに案内されてついた席は、窓側の席だった。
そこで、暁くんは早速難しい顔をしてメニューを見ている。
あたしも、何にしようかメニューに目を通す。
「ここの紅茶、美味しいんだよ。特にオススメなのはミルクティー。」
へぇ、そうなんだー…。
じゃあそれにする、と頷く。
「あとはホットサンドもオススメ。」
あたしもそれでいいや。
こくりと頷いたのを見て、暁くんも口角をあげた。
「そう。OK.」
暁くんは、にこりと微笑んだ。
なんだかそのオッケー、が物凄くカッコよくて、思わずドキッとしてしまったり。