【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「すいませーん。」
うわ、暁くんが言うとなんだかヤバイ…っ
少しいつもより声をあげていたから、その分、声がよく響く。
やってきた若い店員さんも、暁くんをチラチラ見ながら赤い顔をしていた。
「えーと、ホットサンド2つとミルクティー2つで。よろしくお願いします」
「あ、はい。ホットサンド2つに、ミルクティー2つですね。かし…かしこまりましたっ」
最終的に、店員さんは逃げるように立ち去っていった。
「ここのミルクティー、気に入っててよく来るんだ」
そうなんだー…。
なんか、あんな風にオススメのものとか言ってもらえるとメニュー決めやすくていいなぁ。
しかも、入るときドア開けてくれて、さりげなく腰に手とか添えられてたし…。
なんか、大人だ…。
または、女慣れしてるって感じもするけど…。
まぁ、これだけカッコいいんだから当然なのかもしれないけど。
「ね、柚姫ちゃん。誰か知り合いですごく歌の上手い人とか知らない?」
「…――――」
ピクリ、と肩が震えたのが自分でもわかった。