【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「ゆーずちゃんっ。何死んでるのよー?」
その声に、ハッと顔をあげる。
「もうとっくにホームルーム終わっちゃったけど。掃除始まるよ?」
きょとんと首をかしげてあたしの顔を覗き込む彼女はまるで、救世主のようにさえ思えてならない。
“優輝ちゃん、お願いがあるの!!”
「なにー?あっ、とりあえず教室出ようか。」
掃除始まったからね、とあたしの手を引いて二人で屋上へと向かった。
屋上は風通しがよくて、幾分か涼しかった。
ちょうど日陰ができているところに座り、悩みの内容を話す。
沙夜ちゃんのときの問題の時も相談に乗ってもらって、今回も相談してしまっている。
頼ってばかりでごめんねと書くと、優輝ちゃんは好きでやってるからいいのよーと明るく返してくれた。
彼女のこういうとこには、本当に救われる。
「…で!彼の誕プレをどうするか、と。」
ニヤリと口角をあげた優輝ちゃんに、嫌な予感が胸をよぎった。
「そこはもう決まってるじゃない。プレゼントにはあたしを、あ・げ・る、ハート。でしょ?」
照れもせずはっきりと言われ、思わず顔が紅潮した。
ちょ…、あ、あた、あたしをあげるって!!
しかもご丁寧に、ハートってしっかり口で言ってるし!!
「あっはは!!柚ちゃんはからかいがいがあって楽しいわぁ。」
けらけらと笑い飛ばされ、がっくりと膝をつく。
ダメだ、優輝ちゃんには一生かかっても勝てない気がする。