【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
帰ろう、と腰をあげる。
「もうっ結翔離してっ!」
「やーだ。」
…ダメだ、暑い。
エスカレートする前に、とそっと屋上を抜け出した。
教室の前まで戻ってくると、渚ちゃんと麻佑ちゃんと真波ちゃんがいた。
「あっれ、柚ちゃん?優輝はー?」
あたしが苦笑したのを見て、みんなは察したらしい。
ははーん、とニヤニヤした。
「あれはもう、お熱いですからなー。」
「災難だったね、柚ちゃん。」
どうやらみんなも同じような経験があるらしい。
明日あたりはみんなから冷やかされまくるんだろうなぁ…。
思わずクスッて笑ったとき、待ちわびた振動がポケットの中で起きた。
どうやら暁くんが来てくれたみたいだ。
“バイトの時間だから、もう帰るね。”
「あ、うんっ。頑張ってね!!」
「バイバーイ、柚ちゃん」
3人に手を振って、あたしは学校を後にした。
ちなみに、後で優輝ちゃんから謝罪のメールが届いたことは言うまでもない。