【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





「嘘だと思ってる?言ったでしょ?柚の声で気持ちを教えて欲しいって。俺の望む言葉を言ってもらう為に、俺は全力で君にアプローチすることにしたから。」




にこ、ともう一度微笑んでハンドルを握り直す暁くん。





う…、暁くん、なんかキャラ変わってない?




「さて、行こうかー。」




上機嫌でハンドルを回す暁くんに、勝てない人がまた一人増えたと頭を悩ませることになったのだった…。







***********







「えっ、明日から!?」




「そうなんだよー、悪いな。」




リコールにやって来ると、原田さんと愁生さんたちが何やら話をしていた。





「どうしたの?」




暁くんがみんなに声をかけると、優兄が答えた。





「アキ、聞いてくれよ。原田さんな、明日からしばらくいないんだって。」





「はっ?なんで急に」





「悪いなぁ、お前ら。実はなぁ、地元の友達から連絡があってな。明後日同窓会するらしいのよ。」




えぇっ。





「で、ついでに1週間くらい休み取って、実家で親孝行してくるから、しばらくは店は閉める。あらかじめライブの予定は入れてないしな。」






それはつまり、しばらくはRainの集まりは出来ないということだ。



みんなは大学内で集まれるかもしれないけれど、あたしは別だ。







「まぁ、そういう事情なら仕方ないですよ。」




愁生さんがその場をまとめ、話は終わった。







< 231 / 450 >

この作品をシェア

pagetop