【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
細かいことは、優兄を通して決めることになった。
みんなが準備している間は、あたしが暁くんを時間まで引き留めることに。
そこまで決めた時、暁くんが帰ってきてしまい話はそこでおしまい。
「柚、買ってきたよ。」
暁くんを外に行かせた理由をみんなに聞かれて、なんて無茶な…とかなり笑われてしまったけど。
それしか思い付かなかったのだから、仕方ない。
「えっと、チョコアイスとロールケーキだったね?ロールケーキは三種類あったから、一応全種類買ってみたけど…。」
えっ、嘘!!
確かに袋の中には、プレーンとチョコとイチゴ味があった。
しかもアイスも、チョコアイスとチョコチップの二種類。
チョコアイスとロールケーキが大好きなあたしには、目が眩むほど豪華な中身だった。
“ごめんなさい、いくらだった?”
「いらないよ。」
えっ!?
さすがにそんなわけにはいかないと、なんとか粘ってみたものの、結局暁くんはお金を受け取らなかった。
いくら話し合いをするためとはいえ、買いにいかせてその上奢らせるなんて…。
でも心苦しいながらも食べたチョコアイスは、やっぱり美味しかった…。
あたし、単純。
他のケーキやアイスは、帰るまでお店の冷蔵庫に置いてくれるらしい。
ああでも、幸せー…。
その時ふと、あたしがチョコアイスを食べるのを暁くんが見ているのに気が付く。