【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
頬杖をついて、かなりじっくり見られていた。
口元に笑みすら浮かべて、かなり優しい目で、真っ直ぐに。
アイスを食べて、冷えていたはずの体が一瞬で熱に侵される。
「気にしないで、食べて。」
いや、すごく気になるよ…。
“どうして、そんなに見るの”
口パクで尋ねると、暁くんは爽やかに答えた。
「すごく、美味しそうに食べるなと思って。幸せそうな顔して、見てるこっちまで幸せになりそうだ。」
その瞬間、一気に体温があがったのは当然だろう。
そんなことを言う暁くんの極上スマイルだけで、もう胸がいっぱい…。
「あー、暑い暑い!誰か消防車呼べー。ここのあまーい雰囲気を消火してくれー。」
…優兄の茶々が入ったせいで、暁くんの視線からはよくやく解放されたけど。
「優輔。俺がお前の存在を消してやろうか。」
暁くんも、不機嫌になってしまった。
「さ、爽やかスマイルで怖いこと言うなよ。」
「わかってて邪魔してるのはお前だろ?」
優兄も、暁くんに負けるのわかっててなんで喧嘩売るかな。
仲良く喧嘩する二人を遠巻きに眺め、一つ笑みを溢してもう一口アイスを口に含んだ。