【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「じゃあ、あたしたちそろそろ部活だから。またね!」
みんなは部活にいってしまい、あたしと優輝ちゃんだけが残った。
「じゃあ、あたしらもそろそろ行きましょうかね。」
こくりっと頷くと、途端に優輝ちゃんはガバッとあたしに抱きついた。
「!?」
「いやぁ、柚ちゃん可愛いっ。今のクリーンヒット!!胸にキュンってきたわ。」
ぎゅうっと、抱きつきながらそんなことを言う優輝ちゃん。
優輝ちゃんって、やっぱ変わってるなぁと苦笑いを浮かべた。
「もう柚ちゃん、あたしの彼女になる!?」
えええ!?
「…おいこら、変態。そしたらお前の現彼氏はどうしたらいいんだよ。」
そんなときふと聞こえた声に、ようやく優輝ちゃんは離してくれた。
声の主は、ユニフォームを着た結翔さんだった。
「ちょっとー、変態とは聞き捨てならないわね。あんたにだけは言われたくないわ。」
「彼女がその友達に告ってるの見て、他になんて言い表せばいいんだよ。変質者か?」
「もう痴漢でもなんでもいいから、早く部活行け変態。」
「痴漢は認めんのかよ…。まぁいいや、じゃーな。」
結局何しに来たんだろう、あの人…。
結翔さんはさっさとどこかへ行ってしまい、あたしたちは学校を出て目的地のショッピングモールへと向かった。
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そこのショッピングモールは、最近出来たばかりの大きくてオシャレな場所だった。