【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「こうもいっぱいあると、迷っちゃうよねぇ。」
ホントにその通りだ。
見渡す限りの、たくさんのお店。
色々なものを売っていて、目移りしてしまう。
「あっ、あそこなんかいいんじゃない?」
優輝ちゃんが見つめるのは、アクセサリーなんかが売っているお店だった。
暁くんはいつもオシャレだから、きっといいかもしれない。
でも優輝ちゃんとお店の中ををまんべんなく見ても、暁くんっぽいようなアクセサリーはあまりなかった。
「いいのなかったね。でも、まだまだお店あるし、もっと見てみよ!!」
二件目、三件目…。
いいものはあっても、これだ!!っていうのは無かった。
「なかなか無いねぇ。」
もうずっと探しているのに。
“ごめんね、あたしのわがままで”
「気にしないの。あたしが付き合いたくて付き合ってるんだから。あとで甘いものおごってもらうし。むしろ、もっと振り回して、ねっ?」
優輝ちゃんはそう笑って、ポケットから出した飴玉をあたしの口の中に入れた。
いちご味だった。
「さ、行こ行こ。」
にっ、と笑った優輝ちゃんに手を引かれて、またお店を見て回った。
しかし、次のお店でようやく巡り会えた。
銀色の十字架に、ドクロをあしらったメンズアクセ。
ドクロの瞳のところには、紫のストーンが光っていた。
「あっ、いいんじゃない?似合いそう。」
優輝ちゃんもそう言ってくれたし、予算内だったこともあり、それを購入した。
キレイにラッピングもしてもらった。