【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「そうだ。今日、仲間と集まって練習と曲作りするんだけど、よかったら見に来ない?」
え…っ
「みんな、変なやつらだけどいい奴ばっかりだし、柚姫ちゃんならすぐに仲良くなれると思うよ?」
…バンド…………。
あたしは、そっと目を伏せた。
今まで音楽とは距離を置いていた。
今もその考えは変わらないけれど…。
ちらり、と暁くんの方に視線を向けた。
暁くんは優しく微笑んで、静かにあたしの答えを待っていてくれてる。
きっとここで首を左右に振れば、二度と会うことはなくなるだろう。
それに、暁くんたちが奏でる音、すごく気になる。
意思を固めたあたしは、そっと頷いていた。
「よかった。きっと、楽しいから」
暁くんの笑顔を見て、あたしは心からよかったと思えた。