【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





そんなあたしの心の声を遮るように、暁くんは間髪入れずに口を開く。





「君が罪の意識を感じることは、当然かもしれない。けど、周りの人があの事故の責任をすべて君に背負わせるのは間違ってる。そんなことは道理じゃない。」





そんなこと…






「人は、自分を守るためなら時に残酷になる。大切な人を失った悲しみを誰かにぶつけることで、悲しみから自分を守ろうとする。」





…俺にしたように、と暁くんが小さく呟いたような気がした。





「その標的にされて、柚がその責任を一身に背負う必要なんて、どこにもない!」





「―――…っ」





「自分の悲しみを癒すために誰かを傷つけるような人は、弱い人間だ。そんな人たちが言うことを真に受けて、君が一人で苦しまなくてもいいんだ。」





あたしが、背負わなくてもいい…?





あたしの心の揺れを見透かしたように、暁くんは優しく微笑んでから言った。





「君も、大切な人を亡くして悲しむ人の1人だろう?誰よりも悲しいのは、君だったよね?大切な親友が目の前で死んでしまったのだから…。」





「……っ」






「…柚、いいんだ。嬉しいときは笑っていい。悲しいときは泣いていい。苦しいときは迷って、誰かにすがっていい。声を出してもいい。君は1人じゃないよ。俺がいるから。」






途端に、感情のリミッターが壊れた。





ぼろぼろと涙があとからあとから瞳からこぼれ落ち、暁くんの服を濡らしてゆく。





子供みたいに、大声をあげて泣きじゃくりたかった。





でもやっぱり喉からは掠れた吐息しか漏れなくて。





何度も何度も、息が詰まって嗚咽が漏れて。




だから代わりに、心の中でいっぱい泣き叫んだ。





暁くんの服をしわくちゃになるまで握りしめて、その体温にすがり付いて。






「今まで1人で、よく頑張ったね。辛かったよね。悲しかったよね。だから三年分、たくさん泣いて。俺がずっとそばにいてあげるから。」










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