【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐






くら…っ





あ、れ……?





突然、視界がくらりと回った。






「…柚?柚!!」






暁くんの声が遠くで聞こえたような気がしたけど、あたしは意識を手放した。









***********









「…暁さん、もう遅いし帰っていいっすよ。」





「いや、柚が起きるまでいるよ。」






…だれ?








「そうっすか。」






「…今までみたいに話せば?気にしないけど、俺。」





「いや、一応年下っすから。前までの物言いについては謝ります。」





「いいのに。それにしても、良くできた弟さんだね。優輔も見習えばいいのに。」





「…どーも。」






この声は、暁くんと京ちゃん…?






「柚、泣いたんすか。」





「見てたの?」





「いえ、目ぇ赤いから。相当泣いたでしょ、これ。」





「うん。約三年分、ってところかな。」





「へぇ。ってことは柚はあの事を話した、と。」





「うん。全部聞いたよ。柚の親友のことも、事故のことも。」





「そうっすか…。」






「かなり、ひどいよね。相当苦しんだみたいだ。どうして君は守ってあげなかったの?好きなんでしょ、柚が。」





え……?






「…手は尽くしましたよ。でも、あん時の俺はまだ中2のガキで、兄貴は高2で。周りを黙らせて柚を守るほどの力は無かった。」




京ちゃん…






「言い訳にしかならないけど、柚がなにもするなって言ったんです。人殺しを荷担するって、俺らまで責められるからって。」




「柚が…?」






「俺、最低っす。そう言われて、怖じ気づいた。周りから責められるのが怖くて、周りに反抗しなくなった。」









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