【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
ああ、そっか…。
…あれ?
ってことはあたし、空腹で倒れたってこと!?
うぅ、恥ずかしすぎるよ…
「柚、どうしたの?」
暁くんに尋ねられ、なんでもないと首を振ってベットに倒れ込む。
そしてよくよく考えればすごくお腹がすいている、ということに気付いたと同時だった。
ぐぅ~~っ…
ひぃっ!?
あたしのお腹が盛大な音ともに空腹を知らせた。
途端に、水をうったように静まり返る。
「…ぷっ。」
京ちゃんが吹き出したのを境に、堰を切ったように二人は大爆笑しだした。
「あっははははは!!おま…っ、倒れたくせになにその食欲!さすがだな!」
ううぅ…京ちゃんのバカァ…
おそらく真っ赤であることが予想できる熱い顔で、精一杯京ちゃんを睨む。
しかも暁くんも暁くんで、目に涙を浮かべて笑っている。
こんなに笑っているのは、レアな光景かも…。
どさくさに紛れて、密かに心のシャッターをきった。
「んなに睨むなよ。お詫びにお粥かなんか持ってきてやる。ちょっと待ってろ」
ようやく落ち着いた京ちゃんはそう言って、部屋を出ていこうとする。
でも何故かドアを閉める前、一時停止して鋭く暁くんを睨み付けた。
睨まれた暁くんは、可笑しそうに微笑み返し一度軽く頷く。
そこでようやく京ちゃんは部屋を出ていった。
無言の会話みたいだったけど、なんだったんだろ?
あたしは1人、首をかしげていた。