【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
第4楽章‐想いを今、ラプソディに乗せて‐
♪ 父と子の、すれ違い
今年の8月18日は、夕陽の綺麗な日だった。
3年前から、忘れることの出来ない日。
足を運ぶだけで、あの日の光景が鮮明に甦る。
あたしはそこの、今はすっかり綺麗になったガードレールの側に買ってきた花を手向けた。
他にもいくつも花があったから、あたしの他にも来ている人はいるんだろう。
手を合わせ、ゆっくりと黙祷を捧げた。
アキちゃん、アキちゃんが死んじゃってから今日で3年だね。
あの日、あたしが道路に飛び出さなければあんなことにはならなかったのに。
悔やんでも悔やみきれないよ。
ごめんなさい。
ごめんなさい、ごめんなさい。
あたしはアキちゃんのことを忘れない。
罪は一生、背負っていくから。
だからせめて、天国では穏やかに幸せに過ごして。
また来年、来るからね。
あたしは静かに、その場所を去った。