【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
しかし、思わずどきっとしちゃったよ。
あの笑顔と声で「おいで。」だなんて。
自覚してるならやめて欲しいです、ホントに。
そして喫茶店を出たあたしたちは、少し歩いて小さなライブハウスへと来ていた。
なんでも、ここのオーナーさんがメンバーの人の知り合いらしく
休みの日や昼間に、度々練習するのに場所を貸してくれているのだと言う。
暁くんが開けてくれた重い扉をくぐると、静かな屋内に優しい声が響いた。
「やぁ。早いな、アキ。」
「こんにちは。」
奥から出てきた、30代くらいのお兄さんに暁くんは微笑んだ。
「愁生たちはまだ来てないよ。っと、そちらの可愛いお嬢さんは?珍しいじゃないか」