【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





暁くんの横にいたあたしを見つけ、オーナーさんは微笑みかけてくれた。




こんにちは、の代わりに頭を下げる。



「此花柚姫ちゃんって言うんです。昼にちょっとあって。」





と、あたしの代わりに暁くんが紹介してくれた。





「へぇ、柚姫ちゃんね。よろしく。俺はここのオーナーの原田俊樹(ハラダ トシキ)。」




と、原田さんは小さく笑った。



なんだか、軽そ…優しそうな人だなぁ。





「なんだアキ、むっとした顔して。」





「してませんよ、そんな顔。」





原田さんの言葉につられて暁くんの顔を見上げたけど、暁くんはいつも通り微笑んでいた。





「へぇ、そう。」




しかし原田さんは、ニヤリとからかうような笑みを浮かべてあたしと暁くんを交互に眺めた。







< 32 / 450 >

この作品をシェア

pagetop