【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「まぁ、座れよ。紅茶飲むか?」
「じゃあいただきます。」
「柚姫ちゃんは?」
原田さんに尋ねられ、こくりと頷く。
「そう。じゃ、座ってアキと待ってて。」
原田さんはニコッと笑って奥へと引っ込んだ。
原田さんに、変に思われたかもしれない。
顔には出なかったけど、礼儀正しくないと思われたよね。
やはり、あたしが人と関わるのは控えた方がいいんだろうか。
「大丈夫だよ。」
「…?」
あたしがそんなことを考えていたとき、急に暁くんはあたしに笑顔を向けた。
「今、オーナーに礼儀知らずだと思われたかもって心配したでしょ。」
え…っ。
「ホントに君は分かりやすいんだな。」
あたしの反応を見て、暁くんはふっと笑みを溢した。