【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
優輝ちゃんは、信じられないといった風に緩く首をふった。
“あたし、暁くんに嫌われちゃったかな…?”
「そんなこと…!!だって暁さん、あんなに……」
え…?
「…いや、ごめん。何でもない。」
優輝ちゃん…?
「とにかくっ、暁さんに限って柚を嫌うなんて信じられないよ。ちょっとしか会ったことないけど、それでもわかっちゃうくらいあの人は…。だからちゃんと、話さなきゃダメだよ。」
真剣な眼差しの優輝ちゃんに、半ば押される形であたしは頷く。
けれどあたしには、わからなかった。
暁くんの気持ちも、ここまで真剣になってくれる優輝ちゃんの妙な自信も。
その日は、そこで話を終えてあたしたちは深い眠りについた。
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翌朝の土曜日。
あたしに、暁くんと会うよう何度も釘をさした優輝ちゃんは家へ帰っていった。
いきなり訪ねるのは失礼だからとメールを送ってみたのだけど、いつもすぐ来る返信は3時間たっても来なくって。
ひょっとしたらリコールにいるのかもしれないと思い立ち、そこに行ってみることにした。
今日は定休日じゃないし、だいたい昼頃には原田さんは開店準備の為にすでにお店にいることが多い。
お昼を少し回った今ならば、と思って行ってみると予想通り原田さんはいて、椅子に座って新聞を読んでいた。
「…ん、あれ。柚姫ちゃん?どうした、こんな時間に。今日は活動ないからアキたちは来ねぇけど。」
喋る度に揺れる煙草に気付いたのか、原田さんは慌てて火を消しながら言った。