【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





…あぁー、気持ち悪い。




ムカムカして、吐きそうだ。




ちょっと、飲み過ぎたかな…。



あ、講義…



いや、今日は日曜か…。





「…土曜の夜だよ、馬鹿。」




ん…、誰だよ馬鹿とか言うな。俺はバカじゃない。




「バカだろ、いや大バカだよ。」



ちっ、うるさいな…。




「寝ぼけてねーで、さっさと起きろ。帰れねぇだろうが」




わかったわかった。今起きるよ、煩いな…。




重たいまぶたをゆっくりと開く。




見知った天井が、ここは俺の部屋だと物語っていて少し安心した。




酔ったまま知らない部屋で…なんて事態は良くない。




「…あぁ、気持ち悪い……」




「だろうな、どんだけ飲んでんだよ。バカかてめー」




さっきと同じ声がして、ゆっくりと首を傾けた。




不機嫌そうに腕を組んで、そこにいたのは、優輔だった。





「…優輔?なんで、ここにいるんだ?」




「なに今さら気が付いたみたいな反応してんだよ、さっきまで会話してただろ。」





会話?


どうやら頭で考えていたつもりが、口に出ていたらしい。




「…ああ、そう。」




「なんだよ、マジで寝ぼけてたのか?お前らしくもない。」




悪かったな。




「…ああ、気持ち悪い。優輔、頼む。水を一杯…」




仕方ねぇな、と呟きながらも優輔はコップに水を入れて持ってきてくれた。



それを一気に飲み干すと、だいぶ気持ち悪さも飛ぶ。




「で、お前は何をやってるんだよ」




「それは俺の台詞だよ。どうして俺の部屋にいるんだ」




「柚に呼ばれて、仕方なく来てやった。感謝しろよ」




…柚?





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