【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
なんで柚が?
来てるのか…?
「何やってるんだか…。しこたま酒飲んで、アルコール中毒にならなかった方が不思議だぜ」
「…そんなに飲んでた?」
「缶やビンだらけで、マジで驚いた。1人で飲む量じゃねぇよ。」
…うーん、覚えてない。
確か、飲んでも飲んでも酔えなかったような気がする。
けれど、いつの間にか酔ってたらしく、記憶がない。
「柚にどうしようってメールもらって、すっ飛んできたっつーのに。」
「さっきから柚、柚って言ってるけど、柚も来てるのか?」
「それも覚えてねぇのか?おいおい…。お前に話があって来たけど、お前がえらく酔っぱらってて話どころじゃなく、結局そのままお前が落ちたって聞いてるけど。」
………あぁ、思い出した…。
「……最悪だ。」
知らない部屋で目が覚める方が、まだマシだったかもしれない。
薄ぼんやりとしか思い出せないが、色々やらかしてしまった。
かなりまずいことまで言った。
しかも、酔った勢いで柚を…。
「…最低だ、俺。」
「今さら気付いたのか」
「……介抱、しに来てくれたわけじゃないのか?」
「お前の醜態を拝みに来たんだよ」
どっちが最低なんだか。
「…お前、それでも俺の親友?」
「親友に何も話さないお前はどうなんだ?」
「………」
酔いで頭が回らないからだろうか。
いつもは口でなら負けないはずの優輔に、遅れを取るなんて。
「何隠してる。そろそろ正直に話せ」
「…なんのことだか、さっぱりだよ。」