【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「オーナーはそういうのは気にしない人だし、人を見る目もある。だから柚姫ちゃんのことも、いい子だってわかってるはずだよ。」
どうして、暁くんにはあたしの考えていることがわかるのだろう。
こんな風に、あたしを理解してくれる人なんてあの日以来今までいなかった。
ましてや、会ったばかりなのに。
うっかり、泣きそうになってしまった。
涙をこらえ、必死に言い聞かせる。
彼は、あたしなんかとは世界の違う人だ。
今は奇跡的に一緒にいられるけど、今日が終われば関わりは無くなる。
たった1日の、シンデレラの魔法なんだから。
あまり深入りしてはいけない。
あたしは悲しくなる気持ちをしまいこみ、暁くんに微笑みかけた。