【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐




「そっか。…どうだったの?」



あまりにも心配そうに尋ねてくるものだから、大丈夫だよと伝えると優輝ちゃんはすごく喜んだ。





「そう!よかったっ。じゃあ、気兼ねなく文化祭準備できるね!!今日も頑張ろうね!」




ニッコリ笑う優輝ちゃんのお陰で、暗い気持ちがかなり飛んでいった。







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「メニューはこんな感じで十分ね!あとは本番に向けて練習するだけ。みんな、最後まで頑張ろうね!じゃあ今日はお疲れさまでした!」





メニュー開発担当チームのリーダーが、キリリとみんなをまとめる。




リーダーの鶴の一声で、みんな一斉に帰り支度を始めた。





「柚、あたしらも帰ろ」




うんっと頷くと、優輝ちゃんの笑顔が広がる。




そのまま二人で校門まで行くと、そこにいるはずのない人影が見えた。





え、嘘…あれって…。




「柚、久しぶり。」




いつものように、柔らかく微笑む暁くんがそこにたたずんでいた。




「…良かったね、久々のお迎え。」




こっそりと耳打ちする優輝ちゃん。





「じゃあ、あたし帰るね!またね柚!暁さんも、さようなら」



「ああ、気を付けてね。」





ニッコリ微笑んで手を振る暁くんに、一昨日までの面影はない。




まったくもって、普通の暁くんだった。





「柚、送るよ。今日は車じゃないけど、いいかな。」




あたしにもいつもの微笑みが向けられ、微かに困惑する。




けれど、いつの間にか頷いて暁くんの隣を歩いていた。






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