【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
お金、あったよね…?
心配になり、一応お財布の中身を確認する。
千円札が二枚と小銭が数枚。
2053円…。
…足りるよね、一杯だけだし。
「柚姫ちゃん?」
という原田さんの問いかけに、あたしはマグネットボードを取り出して答えた。
“おいくらですか?”
「ん?これかい?これはいいよ、俺がいつもアキたちにご馳走してるやつだから。」
そ、そうなんだ…。
どうしよ、いいのかな…。
「払わなくていいから気にしないでよ。でも、どうしても気になるっていうなら、ちょっと仕事お手伝いしてくれない?」
あ、それいいかも。
やります、という意味を込めてコクコクと頷いた。
「よし。じゃ、紅茶飲み終わってからでいいからね」
あたしが再び頷くのを見て、原田さんも紅茶を一口啜った。