【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「それで、一体どうして掃除なんかしてるの?」
不思議そうにあたしとモップを交互に眺める暁くんが、ちょっぴり可笑しかった。
クスクスと笑いをこぼすあたしを見て、暁くんはもっと不思議そうな顔をする。
「ああ、それな。」
そんなあたしたちを遠目から眺めていた原田さんが、喋れないあたしの代わりに経緯を説明してくれた。
「…なるほどね。そういうことだったのか。」
ようやく納得が言ったらしい暁くんは、苦笑いを浮かべた。
だって、ね?
気になるんだもん。
アールグレイだよ??
何が凄いのかよく知らないけど…。
「変わってるね、君は。別に黙ってご馳走になればいいのに。」
暁くんは、こちらが思わずとろけてしまいそうな柔和な笑みを浮かべると、ふわりとあたしの頭を撫でた。