【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
あたしの、歌…―――。
「…あの子は、本当にあなたの歌が好きだったのね。あの事故であなたと同時に、あなたの歌を、守ったのね」
…っアキちゃん……!!
涙が、堪えきれないほど溢れ、日記を濡らした。
「うっ…うっ…」
止め止めもなく涙が溢れ、心の中にはいつだってあたしを支えてくれたアキちゃんの笑顔が広がっていた。
あたし、忘れてた。
大切な親友との、大切な約束。
何があっても、歌い続けるって。
夢を、叶えるって。
アキちゃんは、あの約束を守ってくれたのに、あたしは…あたしは……!!
「この日記を読んでから、ずっと後悔してたわ。あなたから歌を奪ってしまったのはわたしだものね…。」
気付けば、アキちゃんのお母さんの目にも涙が浮かんでいた。
「ごめんなさい、柚姫ちゃん…。ひどいことを、たくさん言ってしまって」
アキちゃんのお母さんは、悪くないのに…。
言葉が出てこなくて、あたしは首を何度も何度も振った。
「わたし、あなたにどんな顔をして会ったらいいかわからなくて…。遅くなってしまって、本当に、ごめんなさい…っ」
涙腺が壊れてしまったのかと思うほど、涙が止まらなかった。
「お願い、柚姫ちゃん…。あの子のことを思うのなら、どうか、あの子の願いを…。あなたは、歌い続けて…」
アキちゃん…――――!!
「…あたしっ、絶対に絶対に、歌を、止めません…っ!アキちゃんとの約束…絶対に、守ります…!!」
「柚姫ちゃん…っありがとう…!」
「…っう、アキちゃん…!ごめん…ごめんっなさい…っ絶対に、守るからぁ…っだからっ、…うわああああっ……」
あたしは、三年分の苦しみを全て吐き出すかのように、子供のように泣きじゃくった…。