【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
俺が偶然助けた女の子は、声が出なかった。
けど、誰よりも強くて温かい心を持った君に、俺のすさんだ心は癒されつつあった。
綺麗な顔いっぱいに笑顔を浮かべ
大きな目を細めて、柔らかそうな頬にえくぼを作って
一切汚れもくすみもない、真っ白な君。
まだ、メロディが決まってない譜面みたいな俺の中に入ってきて
優しいメロディを奏でていくみたいに、君は笑う。
ああ、でも君は
俺の秘密を知ってしまっても、そうやって笑ってくれるのか?
変わらない笑顔を向けてくれるのか?
そんなわけ、ないよな。
“呪われた血”
そう言われて育った俺を知ってしまったら、きっと離れていくだろう。
君もきっと、離れて行く…。