【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
ありがとう、と京ちゃんに笑いかけると京ちゃんも人懐っこい笑顔を浮かべた。
「じゃあ、気を付けてけよな。」
京ちゃんの心配性。
そういうとこ、昔から変わってないな。
彼の優しさが、胸にしみた。
そしてあたしも、学校へと足を進めた。
一週間後―――。
それからの一週間は、いつも通りの日々だった。
一人で休み時間を過ごしてみんなが楽しそうに過ごすのを遠目に眺め、一人で移動教室に向かって、一人でご飯を食べて。
そんな孤独にも、あたしは慣れてしまった。
そう、あとは一人で帰るだけ。
これも、いつも通り。
そして、家に戻っても…。
寂しい、のかな?
あたしって。
今までずっと一人だったせいで、寂しいなんて感情は忘れていた。
けどこの前、暁くんたちに出会ってしまったことで、一人でいることの寂しさを思い出してしまった。
こんなことなら。
結局一人なことに変わりないのなら、出会わなければよかっ…