【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
そんな時だった。
「…見てみて!あの人かっこよくない!??」
「きゃー!!ホントだ!めっちゃかっこいい!」
あたしと同じく、学校を出るとこだった女子数人が校門の方を指差してはしゃいでいた。
…絶対、暁くんの方がかっこいいし。
あんなかっこいい人、滅多にいないよ。
そのかっこいい人とやらを見てもいないのに、一人心中で呟く。
ローファーを履いて校門の方へと歩き出すと、既に校門付近には人だかりが出来ていた。
それも、純度100%の女子の群れ。
何を囲っているかは、明白だ。
近づくうち、女子よりも頭ひとつ分背の高い男の人がぼんやりと見え始めてきた。
あんだけ囲まれているのに、随分堂々としていた。
「誰か待ってるんですかぁー??」
「よかったらあたしたちと遊び行きません??」
女の子はと言えば、嬉々として逆ナンの最中。
すごいな…。
なんて感心していたあたしの耳に届いたのは、聞き覚えのある声だった。