【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
窓から差し込む光が、暁くんの横顔を照らしていて、すごくきれいだった。
初めて会ったときに感じた、あの気持ちが再びあたしの中を占める。
そうだ。初めて会ったときも、暁くんのこと綺麗って思ったんだった。
まるで、彫刻品みたいに綺麗に整った顔。
優しい顔立ちに、にこりと浮かべる温かくて優しい微笑み。
それに、性格もすっごく優しくて。
いつも、あたし丸ごと包み込んでくれてるみたいで、暁くんといるだけですごくホッとする。
そして、ちょっと低い、甘い響きをもった声韻。
こんな完璧な人、他に知らない。
「学校は楽しかった?」
そんなとき、ふいに話しかけてきた暁くん。
運転中だから、ちらりとこちらを伺って柔らかく微笑むだけだったけど、それがなんだかとても嬉しかった。
正直、学校は楽しくなかったけど、暁くんに心配かけたくなくて首を縦に振った。