【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
第1楽章‐奇跡へのプレリュード‐
♪ 蒼空の下、出逢う
あの事故からもうすぐ三年。
あたし、此花柚姫(コノハナ ユズキ)は今日から高校二年生になった。
始業式の今日は午前中で全ての日程が終わる。
こんな日は友達と遊びに出掛けたりすることが多い。
しかし、そんな友人のいないあたしにとっては関係のないことだった。
でも、最初から友達がいなかったというわけではない。
むしろ以前は友達と呼べる人たくさんがいたし、一人で過ごすことなんてほとんどなかった。
ただ、あたしの背負うハンデの為に疎遠になってしまっただけだ。
最初はみんな、声をかけてくれたりしたし、誘ってくれたりもした。
でもあたしは、それを拒否していた。
事故の罪悪感とショック、それからハンデへの戸惑い。
みんながぐちゃぐちゃになって、あたしの中を占めていた。
いつしか、誰もあたしに近寄らなくなった。