【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐





数秒黙っていた暁くん。



だけど相手が出たのか、いつもの明るい声で会話を開始した。






「お、愁生?俺だけど。」





って、愁生さんにかけてたの?




愁生さんは、暁くんのバンドでギターを担当しているかっこいいお兄さん。




ボーカルが抜けたせいで、何故か今は暁くんと担当を交換してベースらしいんだけど…。





ってことは、暁くんの予定ってもしかして、愁生さんと何か約束してたんじゃ…?




大事な予定だと困るし、暁くんの袖を引っ張ろうと手を伸ばした時だった。





「悪いんだけどさ、今日のリハーサル抜けるから。」





…リハーサル!?




暁くんが言ったまさかの 台詞に驚愕した。





だって、ライブやるってことでしょ!?




それなのに、抜けちゃっていいの!??





「あーはいはい、うん、だからさ…」





たぶん、電話の向こうでは愁生さんが怒っているであろうことが予想される。





電話口から、詳しく聞き取れなかったがかすかに怒声が聞こえた。







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