【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「うん、大丈夫だって。ちゃんと本番には間に合うようには行くから。」
ハラハラしながら、暁くんの話を聞いていると、ふいに暁くんはちらりとこちらに視線を向けた。
「うん?そう。だけど柚姫ちゃんだし。」
って、あたしの名前が出てきたっ!
「ばっか。李織じゃあるまいし、そんなことしないって。」
李織さんだったら何なんだろう…気になる。
「うん、うん。わかってる。いいよ、もうそれで。はいはい、じゃあ後でな。」
最後はなんだか投げやりだったけど、話はついたらしい。
暁くんは、ふふんと勝ち誇ったように口角をあげた。
うわ、こんな顔するんだ…。
新発見。
「よし、じゃあ愁生に快く許可ももらえたし、行こうか。」
絶対、快くはないと思うけど…。
暁くんの楽しげな笑みに、あたしは何も言えなかった。