【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
「―――――!!」
暁くんに連れてきてもらった場所に着いて中に入った時、あたしは息を飲んだ。
「どう?びっくりした?」
あたしは、すぐにコクコクと首を縦に振った。
それでも、目の前の光景からは目が離せなくて。
本当に、すごくて。
あたしの目には、深蒼の世界を悠々と泳ぐ大きなお魚たちが映っていた。
蒼空を飛び回る鳥たちよりも、悠然としてて、自由で。
きらきらと、反射した水面の光までがあたしを魅了した。
「喜んでもらえたみたいでよかったよ。」
薄暗い中、暁くんの嬉しそうな笑顔が眩しいくらいに輝く。
暁くんが連れてきてくれたのは、大きな水族館だった。
子供の頃からあたしになんて興味の薄かった父には、たったの一度も外に遊びに連れていってもらった記憶はない。
だから、水族館にきたのは初めてだったのだ。
今までどうしてこなかったのだろうと疑問に思ってしまうくらいに、感動して。
あたしは、一瞬で水族館が大好きになった。